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夏の沖縄

2008年08月10日
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 沖縄に3年間住んで拍子抜けしたことのひとつに、さぞかし暑いだろうと思っていた沖縄の夏がさほど暑くなかったことがあります。暑さだけでいえば内地(沖縄の人は本土のことをこう呼びます)のほうが暑いのではないでしょうか。実際に天気予報を見比べてもらえば分かるのですが、関東なんかのほうが最高気温の高いことが多いのです。では内地の夏と、沖縄の夏とでなにが違うのだろうかと考えてみると、おそらくそれは太陽ではないかと思ったりします。赤道により近い沖縄ですから、太陽が出ている時間が長いのも、真上の太陽からの日差しが強烈なのも当たり前。太陽とひと言で言っても、そのような当然のことではなく、もっと漠然とした太陽の存在感とでも言いましょうか、ジャンプしたら太陽に手が届きそうな気さえしてきます。沖縄の夏は太陽を身近に感じるのです。
 「沖縄の夏は湿度が低いからカラッとしていて過ごしやすい」と言う人が多いのですが、これは半分当っていて半分間違い。内地も沖縄も同じ海洋性気候ですから、沖縄のほうが湿度が低いってことは決してないです。むしろ亜熱帯のモンスーン気候帯に位置する沖縄のほうが湿度は高いくらいでしょう。なぜカラッとして感じるのかと言えば、異国情緒(異国と言われると沖縄の人は心外でしょうが)を差っ引いても、その理由はモンスーン気候がもたらす季節風にあるようです。人間の体感に影響するものとして温熱要素という指標があるのですが、温度・湿度と並ぶ指標として風速があるのです。夏の盛りにある島を訪れていたときに、いかにも風通しが良さそうな木陰のベンチでオバーたちがひと休み(ナカユクイ)していました。汗をぬぐいながら「暑いですね」と声をかけた私に、そのオバーたちは「神さまが風の通り道を作ってくれているから、ここは涼しいわけさあ」と笑っていました。

 沖縄には年間を通してさまざまなイベントがあるのですが、冬のイベントを静とすると、夏のイベントはまさに動と言えるでしょう。その夏のイベントでも沖縄の人が実に心待ちに(マチカンティ)しており、祭り好きの私も大好きな沖縄伝統のお祭りが2つあります。それは海のハーリーと、陸のエイサー。年間を通して沖縄が、沖縄の人がもっとも盛り上がる、熱い熱い夏のお祭りです。

 夏を呼ぶと言われる祭り、ハーリー。沖縄では初夏にあたる5月に行われる海人(ウミンチュ)のお祭りです。本来は漁の安全と豊漁、そして村の繁栄を海の神さまに祈願する海神祭(ウンガミ)という祭礼のなかで行われていた、爬龍(ハーリー)舟の競争でした。沖縄に古くから伝わるサバニという海人の舟があるのですが、普段は素朴さすら感じるサバニも、この日ばかりは極彩色にペイントされてハーリー舟に変身します。夏の真南風(マフェー)をもろともせず、波を切り裂くように海を走るハーリー舟。ハーリーの語源となった爬龍舟には、龍が爪を立てるように海を爬き走る舟という勇ましい意味があります。私は那覇、糸満、嘉手納など、いろんなハーリーを見てまわりましたが、もっとも印象に残っているのは沖縄本島北部の大宜味村で行われる塩屋ウガンバーリー。派手さこそありませんが、流れるように蕩々と進んでいく祭礼には神々しさすら感じました。

 夏も真っ盛り、沖縄のお祭り気分も最高潮に達する祭り、エイサー。本来は無病息災や家庭円満、子孫繁栄などを祈願して、ご先祖さまの霊をお迎え(ウンケー)し、そしてお送り(ウークイ)する、言うなれば沖縄の盆踊りです。そもそも沖縄は先祖崇拝ですから、ご先祖さまをそれはそれは盛大にお迎えするのです。私がエイサーのとりこになったのは、私が沖縄に移住して間もない頃、沖縄に慣れることで精一杯であった私を、職場の同僚が沖縄全島エイサーに誘ってくれたのが始まりでした。それ以来、道ジュネーが通ると言えば足を止め、近所の公園でエイサーがあると聞けば出かけて行き、夏が来るといろんなエイサーを見てまわりました。そのなかでも私が一番好きなのは沖縄本島中東部の勝連町で行われる平敷屋エイサー。太鼓衆の一糸乱れぬ太鼓(パーランクー)の音、道化役のチョンダラーが吹く指笛、そして素朴さのなかにも力強さを感じる踊り。ここまでくると芸術ですね。

 年間を通して暖かな沖縄の海も、やはり夏はオンシーズンで、いろんな意味でスペシャルなのです。冬には新北風(ミーニシ)に阻まれて入れなかったポイントが穏やかになったり、日差しが真上から降り注ぐために海のなかがとても明るく感じられたり、どれだけ潜っても身体が冷えずに水着で快適だったり。沖縄では夏に海がどれだけ暖かくなるかと言うと、8月もしくは9月に海水温は実に30度近くまで上がります。ここまで暖かくなると身体にはまったくストレスフリーで良いのですが、浅瀬や海水面なんかは冗談ではなくお風呂のようになってしまいます。このお風呂のような、くわえて観光客で混雑した昼間の海に閉口してしまい、私は早朝や夕方の海に好んで入ってたほどです。夜の海は不気味な感じがして決して得意じゃないのですが、私は夜光虫のはかない輝きが大好きで、ときには日没後の海に入ることもありました。夜の海で忘れられないのは、友人たちと夜の真栄田岬に入ったときのこと。夜光虫に洞窟に、ひとしきり真栄田岬の夜の海を楽しんだ後、海面から顔を上げると対岸のムーンビーチで花火が上がっているではありませんか。海に浮かびながら、立ち泳ぎをしながら友人たちと見たあの花火は、沖縄の思い出のなかでも忘れられない出来事です。

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